【戦後の日本と日本人】

— 第8話 —

◆ 高度経済成長からバブルの崩壊 ◆

 昭和25年(1950年)から昭和40年代後半(1973年頃)までの20数年、この時代の日本は終戦からの復興と飛躍的な経済発展を遂げた高度経済成長の時代と言われています。この時代の日本は歴史的にも例のない、めざましい経済発展を経験した時代でした。そしてこの高度成長の時代は、過去の戦争を振り返ることよりも、豊かさを求めて国全体が毎日の仕事と経済活動に一生懸命に励んでいた時代でもありました。

 この時代には復興と経済発展を象徴するような東京オリンピックや大阪万博も開催され、戦後の日本は国家の総力を挙げて奇跡的な復興と発展を遂げたと誰もが信じ、敗戦で打ちのめされた国民は日本人としての自信を取り戻してきた時代でした。それは日本中が焼け野原にされた、悪夢のような敗戦からわずか25年ほどの間に実現してきた飛躍的な復興と発展だったからです。

 空襲に怯えて暮らしていた日々は過去の記憶となり、平和な時代の中で一生懸命働いてさえいれば、明るい未来が必ずやってくると誰もが信じていた時代でした。しかし、この高度成長の時代を経験し、その当時に現役世代として働いていた日本人からすれば、その50年後にあたる現在の日本という国がこのように貧しい国になるなど、いったい当時の誰が想像できたでしょうか。

 終戦から高度成長期を経て、バブル崩壊までの日本は、多少の浮き沈みがあったにせよ40年以上も成長を続けてきた国でした。しかしその後、バブル崩壊をピークに現在まで30年以上も衰退が止まらない国となり果てました。いったいこの国は、どうしてこのような状況に陥ったのでしょうか。飛ぶ鳥を落とす勢いの成長を続けていた戦後の日本が、バブルの崩壊という落とし穴に落ちただけで、なぜ何十年も成長できないような国になってしまったのでしょうか。

 バブル崩壊をきっかけに、日本人は無能な民族へと突然変異でも起こしたからなのでしょうか。もちろんそんなことはあり得ません。令和の現在から、戦後の約80年の歴史を俯瞰していけば、敗戦後の日本が歩んできた不自然とも思えるほどの急激な発展と衰退の歴史が見えてきます。

 これは大東亜戦争の敗戦によって、世界構造の一部に組み込まれてしまったこの国の本当の歴史を理解することで、戦後の復興と経済成長は日本人の力だけで成し遂げたのではなかったことが見えてきます。そしてこの歴史の事実は、高度成長期に現役世代として働いてきた日本人には受け入れがたい歴史かもしれません。しかしこの歴史を理解できなければ、なぜ日本が戦後の短期間で経済大国になれたのか、なぜ計画的にバブルの発生と崩壊を仕掛けられたのか、なぜ現在の日本が成長のできない、国民が一生懸命働いても明るい未来が見えない国になったのか、この国の多くの問題の根源にある原理は理解できません。

 戦後の日本の本当の歴史とは、日本を発展させようとしたグローバリズム勢力の方針によって、彼らの間接的な支援を基盤にして奇跡的な経済成長と発展を実現してきた歴史なのです。しかし、高度成長時代に彼らの予想を上回る発展をし過ぎた日本は、将来的に彼らの脅威になりえる国として方針を変更され、長い時間を掛けてバブル後の衰退の現在へと導かれました。日本は彼らによって、現在のような貧しい国へと誘導されてきたのです。

◆ 戦争と好景気 ◆

 戦後の日本の経済発展が始まったきっかけは、昭和25年(1950年)に勃発した朝鮮戦争による戦争特需と言われています。敗戦によって武装解除され、GHQによる占領統治が続いていた当時の日本にとって、朝鮮半島での戦争は文字通り対岸の火事でした。この朝鮮戦争は、建国されたばかりの中華人民共和国に支援された北朝鮮の侵攻から南朝鮮の韓国を防衛するために、日本に駐留していた米軍が派遣された戦争です。

 朝鮮半島に派遣される駐留米軍を後方から支援する役割を担ったのが、終戦後の長い不況によって貧困にあえいでいた日本でした。敗戦後の日本を占領統治するために駐留していた米軍に、軍需品や装備品、その他の大量の物資を供給することが急務となりましたが、これらの物資はアメリカ本国ではなく、戦場に近い日本国内で大量に生産されることになりました。つまりアメリカの方針によって、日本が国を挙げて米軍の補給基地の役割を担ったのです。

 この戦争特需によって日本の経済回復が始まったのは歴史の事実であり、朝鮮半島のほぼ全域を戦場にして3年に渡って続けられたこの戦争のおかげで、日本は戦後の経済復興の最初の足掛かりをつかむことが出来たのです。日本としては、これが戦後の歴史の中で偶然に起きた朝鮮戦争によって生まれた最初の好景気の背景です。

 特需に対応するための生産拠点が続々と建設され、それらの生産施設は朝鮮戦争が終わると、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの耐久消費財の購入ブームを支える生産拠点に変わり、神武景気と呼ばれる好景気に繋がりました。その後は岩戸景気というさらなる好景気に発展し、国内で生産した商品がどんどん売れる好循環が日本の経済を発展させていきました。現在から考えると夢のような時代です。

 このような好景気が続いていた最中に、今度はベトナムで戦争が始まりました。日本にとっては、偶然始まったベトナム戦争で再び駐留米軍が派遣され、朝鮮戦争と同じような特需がまたしても日本の経済成長の後押しをしました。イザナギ景気と呼ばれたこの好景気が戦後最大の好景気となり、これによって日本は高度成長期のピークに達しました。

 日本人から見れば偶然の出来事のような歴史の事実ですが、他国で起きた戦争が間接的に日本の経済発展に影響を与えたのも事実です。アメリカが戦う戦争を支援するための生産活動は、結果的に日本の発展の基盤になりました。本来はアメリカの労働者が担うはずの生産活動をアメリカの国民ではなく、日本に請け負わせる方針を決めたのは誰なのでしょうか。それを決めたのがアメリカ政府の背後にいるグローバリズム勢力なのです。

 つまり、大東亜戦争で戦前の日本を潰したのもアメリカであれば、戦後の日本を再び先進国に向けて発展させたのもアメリカだったのです。そしてこのアメリカという国は、100年以上も前にグローバリズム勢力の支配下に置かれてしまった国であり、アメリカの方針を決めているのは彼らのシンクタンクである外交問題評議会(CFR)であるわけです。

 戦後の高度成長の基盤にあったのは、日本の経済発展を誘導した外交問題評議会(CFR)を構成するグローバリズム勢力の存在でした。敗戦後の日本を武装解除したのも、国民を軍事費の負担から解放したのも、日本人に生産活動と消費行動に集中させる環境を整える方針を決めたのも彼らです。戦後の日本政府は彼らの代理人となって、彼らの方針に従って国の舵取りを行ってきました。彼らの存在も彼らの意図も知らない当時の日本人は、彼らが作ったストーリーの中で馬車馬のように働き続け、その恩恵によって生活を再建し発展してきたのです。

 戦後の日本は焼け野原から国民が一丸となって経済発展の道を歩んできたと、今でもそのように教えられています。もちろん当時の日本人は必死になって一生懸命に働いてきました。戦後の貧しかった時代を乗り越えて私たちを育ててくれた両親や祖父母の世代の努力には感謝してもしきれません。しかし、戦後の日本は日米同盟と日米安保条約に基づき、日本国内に米軍基地があったおかげで国防の経済的負担から日本人は解放されてきました。その恩恵によって、戦後の日本人は消費行動だけの経済活動に専念できた特異な歴史を歩んできたのです。

 日本の発展は、偶然起きた周辺国の戦争をきっかけにした好景気と、好景気を拡大させてきた日本銀行によるインフレ政策、そして日本の国防を米軍に任せることで経済活動だけに専念できた特殊な環境があってこそ実現できた発展なのです。戦後の短期間での発展を可能にした特殊な国内環境を整えたのは、私たち日本人の力や日本政府の能力ではありません。戦後の日本にボーナスステージを用意したのはグローバリズム勢力であり、彼らのエージェントとなって彼らに従い、この事実を日本人に気付かせないように日本の舵取りをしてきた歴代の内閣や霞が関、日本銀行総裁のような人たちです。日本のリーダーと言われてきた人たちが彼らの代理人となってその役割を担ってきたのです。私たち日本人の多くは本当の歴史を知らないために、いまだにこの事実を理解することができません。

◆ 戦後の日本の成長原理 ◆

 昭和の高度経済成長は、グローバリズム勢力がアメリカの世界戦略を通じて戦後の日本の復興を陰で支援していたことが要因で実現できました。戦争も含めたアメリカの外交政策を決定しているのは大統領がいるホワイトハウスではなく、そこに指示を出す外交問題評議会(CFR)というグローバリズム勢力のシンクタンクです。

 朝鮮戦争もベトナム戦争も、日本が誘い出された大東亜戦争も、戦争の背後にいるのはいつの時代も歴史の陰に隠れてきた彼らです。とはいえ、朝鮮やベトナムでの戦争は日本の復興のために起こされた戦争ではありません。しかしながら、戦争を利用して日本を発展させようとした彼らの意図は間違いなく働いていたのです。

 そしてもう一つ大事な要素があります。それは、国民が一生懸命働いたとしても、現在のように低賃金の労働環境では国民の収入は増えず、収入が増えなければ国民は消費におカネが使えません。バブル崩壊から近年の日本のように長いデフレが続き、国民が活発な消費行動をしなければ経済発展は不可能です。しかし高度成長期の日本は国民が大量に消費できる経済環境を整えるために、通貨発行権を持つ日本銀行が市場に大量の通貨を供給する役割を担いました。これを許可したのもグローバリズム勢力の方針です。

 日本銀行が大量に通貨を供給した痕跡は戦後に発行した紙幣の通貨単位に見て取れます。終戦直後には存在しなかった千円札や五千円札、さらには一万円札という超高額な新紙幣が朝鮮戦争勃発から8年ほどの間に相次いで発行されました。これは現在なら、百万円札のような超高額紙幣が発行されたようなインフレです。通貨を発行する権力を持つ日本銀行が国民の購買力を高めるために、グローバリズム勢力の指示に従って国全体をインフレに誘導してきたのです。

 日本銀行は政府や財務省ではなく、グローバリズム勢力の指示に従って日本の通貨政策を進める中央銀行です。必要があれば高度成長期のように新札を生み出してもインフレを造り出し、必要であればバブル崩壊後のようにデフレを長引かせるために信用創造を引き締めてデフレを造り出せる銀行です。日本銀行という中央銀行は、好景気も不景気も彼らの意向通りに造り出せる円の支配者なのです。

 戦争特需で整備された、工業製品の大量生産体制を引き継いで商品がどんどん生産され、その商品を購入するための貨幣を日本銀行がどんどん供給しました。需要にこたえる大量生産の供給体制と、消費のための貨幣を大量に発行する日本銀行のインフレ政策との相乗効果によって、終戦からの25年で日本は空前の経済発展を実現したのです。

 日本銀行が供給する貨幣は政府支出である公共事業と、市中銀行からの民間融資という二つの供給ルートから市場を経由して企業や個人に行き渡り、当時の日本人は事業や労働を通じて前年を上回る収入を毎年のように手に入れることができていました。中央銀行からのマネーが大量に供給されていたことで国民全体の購買力が高まり、生産と消費活動が足並みを揃えて伸び続ける良いインフレの好循環によって、驚異的な高度成長を続けてきたのです。

 しかし過度のインフレを抑制するために、この時代には多くの税金も課税されました。特に高度成長期のマイカーブームで自動車関連の税金が新しく導入され、日本をクルマ社会に育てながら自動車と燃料に高額な課税を設定したのも好景気が続いていたこの時代があったからです。さらに後年のバブル景気絶頂期には、日本にとどめを刺す消費税が導入されました。

 税金は本来、不景気が長引くなら減税しなければならないものですが、マネーの正体を理解できないように育てられた日本人は面白いようにグローバリズム勢力が仕掛けた罠に落とされました。政府は彼らの代理人となってデフレ政策と構造改革を推進し続け、令和の現在も日本を衰退へ導くための舵取りを継続しているのです。

◆ 何も知らなかった日本人 ◆

 戦後の日本に復興と発展を許可したのは、大東亜戦争で大日本帝国を破壊したアメリカ合衆国を支配してきたグローバリズム勢力でした。その当時、アメリカのグローバリズム勢力である外交問題評議会(CFR)に向けて、戦後の日本を発展させる方針の青写真を提供したイギリスのシンクタンクがありました。この組織が、外交問題評議会(CFR)の指導的な姉妹機関としてイギリスのグローバリズム勢力が組織していた、王立国際問題研究所(RIIA/チャタムハウス)というシンクタンクです。

 王立国際問題研究所(RIIA/チャタムハウス)は、終戦間近の昭和20年1月に占領後の日本の統治計画を議題にして開催された、第9回太平洋会議を取り仕切る外交問題評議会(CFR)傘下のシンクタンクである太平洋問題調査会(IPR)に、日本を統治する際の重要提言という形で指示書を提出していました。

 その提言内容の中で、大日本帝国の従来の官僚機構や教育機構などの組織体系はそのまま存続させ、組織のトップをグローバリズム勢力の代理人に差し替えれば日本の統治はスムーズに進み、統治後の日本に資源と資金を投下すれば、勤勉で組織に従順な日本人の国民性によって、短期間でアメリカ型の重工業社会として発展するだろう。との見解を示していました。

 イギリスの王立国際問題研究所(RIIA/チャタムハウス)は、日本人の国民性や日本の組織体系が優れていることを良く理解していました。組織の機構やシステムはそのままにしておき、組織のトップにいる指導的立場の要人さえ替えてしまえば、ピラミッド型の組織に従順な日本人の国民性と勤勉性によってトップダウンによる洗脳教育と復興が進み、そこに資金と資源を援助すれば短期間でアメリカのような工業先進国として発展するはずだと、当時の彼らはすでにここまで日本と日本人のことを見通す能力を持っていたのです。

 王立国際問題研究所(RIIA/チャタムハウス)の提言に沿うようにして、グローバリズム勢力の見立てたシナリオ通りに戦後の日本は経済発展を実現させてきました。日本の経済成長は終戦の前からグローバリズム勢力の計画の中で予測されていた発展であり、日本の成長の実態は彼らの手のひらの上で踊らされた発展だったのです。私たちはこのような歴史の事実を日本人として知らなかっただけであり、それゆえに戦後の日本人は自分たちで復興と発展を成し遂げたと信じてきたのです。

 このような事情を知らなかったとしても、経済成長の時代は昭和48年(1973年)のオイルショックの頃まで続きました。しかし、発展を続ける日本の経済規模が年々大きくなり続け、これによって世界経済に与える影響が無視できない程に大きくなっていきました。そしてこの頃から、日本に支援を続けてきたグローバリズム勢力の方針が変わり始めました。

◆ 発展し過ぎた戦後の日本 ◆

 この頃の時代になると、衣食住に関わる生活必需品は概ね満たされた時代になりました。次第に日本人は得意分野でもある最先端テクノロジーの研究開発にも多くの資金や人材を確保し始めていきました。発展を続ける日本の科学技術や工業化された生産力は、再び欧米の水準に迫るようになり、日本発の新しいテクノロジーも出現してくるようになりました。しかし、こうした日本の経済発展を基盤にした技術革新が、戦後の日本を育ててきたグローバリズム勢力から脅威とみなされるようになり、警戒されるようになってきました。

 グローバリズム勢力の観点から見れば、戦後の日本は戦災からの復興だけにとどまらず、彼らの予測を上回る急速な発展を成し遂げてしまっていたのです。つまり、高度成長時代の勢いで日本の発展が継続することは、将来的に彼らの優位性を上回るような技術革新を生み出す恐れがあると警戒され始めたのです。特に軍事技術に転用も可能となるような日本独自のテクノロジーの発達が見え始め、これが将来的には彼らの優位性を脅かす技術革新をもたらす可能性が出てきたとみなされ、日本は次第に看過できない存在となってきたのです。

 彼らは戦前の大日本帝国をアメリカとの戦争に誘い出して崩壊させ、原爆まで落として日本中を焼け野原にするほど徹底的に破壊したはずでした。戦後は日本を造り変える方針でGHQによる占領統治も行いました。彼らにしてみれば、これだけ打ちのめせば日本が自力で復活するのは当分無理だろうと思ったことでしょう。だからこそ、終戦後の日本に対して復興のための資源や資金の支援を続け、好景気を継続させる金融政策を指示して国民を豊かにさせ、戦後の日本を自分たちが扱いやすい従順な国に造り変えて手なずけるつもりだったわけです。

 それがわずかな期間で復興を遂げ、さらには急激な発展を続けながら新しいテクノロジーまで生み出し始めた日本人を見て、彼らは再び日本人は危険で驚異的な民族だと警戒するようになってきたのです。ところが当の日本人にはそのような認識は全くありません。経済発展を続ける戦後の日本の中で、敗戦によってどん底に突き落とされた多くの日本人は一生懸命働き、ただ純粋に戦争のない時代に感謝しながら豊かさと自信を取り戻してきただけでした。

 戦後の日本人という民族は、無知であるがために無邪気な民族なのかもしれません。無知であるがために能天気な民族なのかもしれません。自分たちが生きている日本という国が、世界の構造の中でどのような位置付けに置かれているのか、どのような意図の元で育てられてきたのかを知らないばかりに、何の悪気もなく新しいテクノロジーを生み出しながら発展してきただけなのに、グローバリズム勢力にとってはそのようにして発展してしまう日本という国が目障りな存在となってしまうのです。

 このことは著述家のゲイリー・アレン氏が1976年にアメリカで出版した著書「ロックフェラーファイル」(邦題:ロックフェラー帝国の陰謀/邦訳:高橋良典/1986年刊行)の中で次のように述べています。

〔 ・・・彼らの苛立ちの原因とみられるのは、この1970年代に欧米諸国やソ連、中国共産圏の著しい経済的低迷とは対照的に東南アジア諸国がめざましい発展を遂げ、特に日本の存在が無視できないまでに大きくなったことである。日本の動向は彼らを苛立たせ、彼らに軌道修正を迫るほど大きな圧力となっているが、大部分の日本人はそのことに気付いていない・・・〕

 彼らとはグローバリズム勢力のことであり、日本の経済発展が彼らに軌道修正を迫るほど圧力を与えているために苛立ちを覚えているということです。そしてその事実に当の日本人は気付いていないとも述べています。世界の構造を理解しているアメリカ人から見れば、当時の日本人がいかに無邪気に経済活動や技術開発に取り組んでいたのか、それがどれだけ彼らの目に余るものだったのかが良く見えていたわけです。

 ゲイリー・アレン氏の書籍は今から50年近く前に出版されたもので、その当時の日本は高度成長期が終わった頃の時代でした。この本が出版された頃からグローバリズム勢力は日本に対する方針を変更し、オイルショックから始まる多くの仕掛けを利用して、発展し過ぎた日本の経済力と生産力を削ぎ落す計画を進めるようになっていきました。アレン氏はこの本の中で、戦後の成長を続けていた日本は再び彼らの征服目標になったと述べています。当時のアメリカで出版された本の著者が述べていた通りに、日本はこの50年で本当に彼らに征服されてしまいました。

 高度成長の後の日本で起きてきた、電電公社や国鉄、郵政民営化など国営企業の民営化。ドル円の為替レートを強引に円高にしたプラザ合意。バブル景気を仕掛けて崩壊させてからの構造改革。消費税導入と引き上げの繰り返しで何十年もデフレを長引かせ、労働法を改正して非正規雇用の低所得者を増産。彼らの仕掛けた罠は枚挙にいとまがなく、その成果は見事に現代の日本を形づくり、ついにグローバリズム勢力が計画した通りの日本になり果てたのです。豊かな時代は二度と訪れない、現在の日本が出来上がったのです。

 私たち日本人の祖先たちは、このような国にするために戦後の焼け野原から這い上がってきたのではありません。このような国にするために命を投げ出して大東亜戦争で散ったのでもありません。私たちの祖先たちは、自分たちがいなくなった未来の日本の子供や孫たちのために、それは現在を生きている私たちを想って懸命に生きていたのです。しかしその想いはいつの時代もグローバリズム勢力の仕掛けによって打ち壊され、彼らに搾取され続ける世界の構造はいつまで経っても変わらないままなのです。

 彼らがいた事実を私たちが知らないために、彼らとの歴史を私たちが学べないために、それによって多くの日本人が彼らの存在を信じないために、これからも同じように彼らに仕掛けられ、翻弄され、搾取され続けるのです。しかし、この繰り返されてきた歴史ももはや時間の問題かもしれません。なぜならもうすぐ彼らの目的が達成されようとしているからです。私たちがこのまま何も知らないままであれば、高度成長の繁栄が失われたように、いつかはこの国そのものが失われます。

その時に気が付いても、その時に彼らとの歴史を学んでも、その時にはもう手遅れなのです。

◆ 戦後の日本という世界 ◆

 残念ながらこの世界は、誰もが純粋に努力をして、自分のやるべきことを精一杯頑張っていれば、社会が発展して幸せになれるような世の中ではありませんでした。なぜなら私たちが生まれてくるずっと前の時代から、そのような世界とは全く違う方向に世界の構造が造られてきたからです。

 歴史が私たちに教える真実は、私たちが生まれてきた数十年前の日本という国は既に世界の構造が完成した時代の日本であり、その構造の中に組み込まれてしまった戦後の日本という世界だったということです。本当の歴史を知らない私たちがこの事実を知らなかっただけであり、グローバリズム勢力の目指す世界の完成まで、残すは最後の仕上げのみという段階まで彼らの計画が進んでいた世界だったのです。

 この歴史の意味を学び、日本に何が起きてきたのかを学び、未来を変えるための最期の時間が残されているのが現在の時代です。令和の時代になった現在も、この世界は完全な完成に向かって最後の仕上げが進められている最中です。世界中の人間がマネーに支配されたワン・ワールドの世界、グローバリズム勢力が目指す完全な超監視社会の新世界秩序の完成に向かって進んでいます。これが隠されてきた本当の歴史が私たちに教えている真実です。

 この真実に気付かないように、私たちはこの世界に生まれてきた時から、おカネの事も歴史の事も、嘘を真実とする間違った常識を学校やテレビからしつこいほど教えられてきました。真実を嘘と認識するように子供の頃から教育され、もはや真実を知りたいとすら思わないように育てられた大人であふれた国になってしまったのが現在の日本という国です。

 この事実に気が付かないまま、労働に従事することしか取りえのない無知な大人で溢れかえってしまった国がこの国の本当の姿であり、彼らによって無知な大人に育てられたのが私たち戦後の日本人の本当の姿なのです。この情けない現実と、自分たちの本当の姿を冷静に見つめることが出来る日本人が一体どれほど残っているのでしょうか。

 しかし、自分たちの本当の姿である戦後の日本人の正体に向き合えなければ、やがて訪れる絶望的な未来は変わりません。そして、この情けない現実を受け止められる精神力を持っている日本人がこの国にはまだたくさんいるはずです。グローバリズム勢力の存在を知っていた先人たちの歴史を学び直し、先人たちが彼らに対峙した大東亜戦争の本質に気付ける日本人がたくさんいるはずです。

 大東亜戦争で彼らに対峙した祖先たちが、現在のような未来を回避するために命懸けで戦った歴史を学び、追い込まれた現在の日本の現実に気付く日本人が増えるなら、その時にこそ未来は変えられるかもしれません。隠されてきた歴史を学び、知恵を出そうと考える日本人が増えるほど、それはグローバリズム勢力の仕掛けを見破る力となり、それがいつか彼らの思惑を超える方法を生み出す知恵となり、日本が真に独立するための力になると信じています。

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