【世界の構造と日本人】

ー 第 1 話 ー

◆ 世界の構造を解析する近現代史 ◆

私は住宅建築家を本業とする一級建築士です。小規模ながら、建築物の一つである住宅の構造のプロでもあります。世界中に住宅があり、世界中に様々な住宅の構造があります。どんな構造でも考え方が同じなのは、構造が建物を支えているという事です。

とりわけ私は構造が好きな建築家であり、構造に対して関心が強いほうでした。ふとしたことで、昨年からとある構造に気付き始め、それに着目するようになりました。それは「建築の構造」ではありません。

明治維新のはるか以前から、我が国の歴史に影響を与え続けている「世界の構造」です。この構造の存在に気が付いたのは、2年前に始まった世界的な疫病の流行がきっかけです。世界中の動き、政治の対応、メディアの報道姿勢、あらゆるものに疑問がつのりました。

それとは別に私の生業とする業界でも、近年カーボンニュートラルの概念の元、住宅の省エネルギー化を推進する、建築物の省エネ法の改正が何度も繰り返されてきました。

建築士である私は、二転三転する国交省のルール変更に疑問を感じながらも設計業務を行ってきましたが、これも気付けば、この構造を構成する部材の一部としての政策でした。一見、何の関係もない疫病と建築物の省エネ政策は、世界構造の奥深くにおいて一つに繋がっており、私達の生きている世界は、ある目的のために一つの方向に向かっていました。それも昔から、世界もその中の日本もある方向に向かって動いていた事に気付き、それを確信出来たのは正しい歴史を学び直した事によって、世界の構造と本質に気付いたからです。

この構造に気付いたことで多くの疑問が解け、自分の意識にも変化が起きました。同時に、この構造の存在は全ての日本人が知るべきだと考えるようにもなりました。ただし、この世界構造の存在を理解するためには、近現代史を学び直す事が必要です。それも戦後の日本人が学ばされた歴史ではなく、長い間隠されてきた正しい歴史です。特に明治以降の近現代史の中に、世界構造が理解できる歴史的な証拠が隠されています。

しかし戦後の日本人は、この世界構造の存在に気付かないように育てられて来たようです。そこに気づかないようにと、戦後の日本人は真実の歴史から遠ざけられたと考えられます。それはこの国が辿ってきた歴史と、戦後私達が育てられてきた歴史にも関係しています。

◆ 近現代史研究家 林千勝先生の研究と教え ◆

建築士である私は建築の専門家であり、歴史の専門家でも歴史の研究家でもありません。しかし、歴史研究家の深い研究に触れ、真実の歴史を学ぶ事で理解できる事があります。それがこの世界構造の存在と、その構造を造り上げてきた勢力や人物たちの存在です。そして彼らが長い歴史の中で何を成し得ようとしてきたのか、その大きな目的です。私のような歴史学の素人である一般的な日本人の目から見ても、その構造の存在や本質が理解できるのは、真実の歴史の中に本当の事実が隠されている事に気付けるからです。

この世界構造の存在に気が付いたのは、近現代史研究家の林千勝先生の著書や講義から近現代史を学び直したことによって、従来の歴史認識では疑問だった点が繋がったからです。私は若い頃から構造と同じように歴史にも関心が強いほうでしたが、若い頃に学んだ歴史認識では、この世界構造に気付くことは出来なかったはずです。建築物であれば荷重を地盤に伝達する構造体のような仕組みが、世界にはマネーのパワーを伝達する構造として歴史的に存在していた事実を学びました。まさに、世界構造です。

世界の構造はマネーのパワーによる構造であり、世界中の全ての文明人、企業、銀行、そして国家でさえもこの構造体の構成部材である事が理解できます。そして、世界の構造はマネーのパワーを伝達する構造でありながら、マネーのパワーによる支配構造を併せ持っており、むしろそれがこの構造の本質であり、正体でもあります。

マネーとは現金だけではなく株式や債券等、マネーに置き換えて考えられる全てのものであり、世界中の国家や企業、そこに関連する全ての人達の生活に直接的に関係しています。世界構造の根幹を支えているのは株主資本主義という複雑で大きな経済システムです。このシステムを支えているのが金融システムと各国の通貨、そして通貨発行権です。

このような複雑で強大なマネーのパワーが歴史的に世界の構造を支えてきました。そして現在においても、これが支配構造を伴って世界という大きな建物を支えています。

マネーを水滴や水として例えると分かりやすいかもしれません。個人消費から少しずつ吸い上げた水滴のようなマネーは、経済活動を行う企業を通じ、また、税金という水滴は国家を通じ、複雑に幾層もの階層を上って集まっていきます。世界中から集まった水滴のようなマネーは、ついには海のように途方もない水量になり、やがてそれは世界構造の頂点に君臨する、一部の勢力の元に集約されていきます。

その勢力は国家も国境も超えた、一般人には気付きにくい場所に存在している人達です。彼らは、国連やWHO、NATO等の国家を超えた組織にも大きな影響を与えています。そして彼らは、世界構造の本質を見えにくくするために、100年ほど前から二つの大きなイデオロギーを世界に造り、長い時間を掛けて育ててきました。

彼らはそこに対立構造を造り、世界中の人達の目線をその対立構造に向けさせています。それは、自由主義VS共産主義という対立構造として世界中に認知されています。前者はアメリカが代表的な勢力であり、西側諸国の自由と民主主義国家の勢力です。後者は中国が代表的な勢力であり、共産主義という独裁的な管理社会国家の勢力です。このイデオロギーの対立は、国家が自然に成長して出来上がった対立構造ではありません。

マネー主義に支配されたイデオロギー構造

二つの勢力をマネーのパワーによって造り出し、彼らが対立構造を育ててきたのです。世界中がこの対立構造にフォーカスすることで彼らの存在に気付きにくくなり、さらに彼らは対立する二つの勢力に影響を与え続け、対立すらもビジネスに利用しています。この対立構造は第二次世界大戦の後から彼らによって構築され、現在の共産主義勢力の筆頭である中国が台頭する30年前までは、崩壊したソ連がその役目を担っていました。この対立構造の特徴は、政治と軍事は対立しながらも、経済的には相互に依存しているのが最大の特徴です。対立しているように見えて、お互いになくてはならない存在なのです。

この対立構造を作り上げた彼らは、対立を煽って自らのビジネスに利用してきました。それは医療ビジネスや軍事ビジネスも含めたあらゆるビジネスです。このように表向きは対立しながらも、歴史的に世界は経済的に連携してきました。世界の歴史を辿ると、世界は裏ではマネーで一つに繋がっているワンワールドなのです。彼らは第一次世界大戦前からこの世界構造を設計し、長い時間を掛けて構築してきました。その彼らとは、株主資本主義を隠れ蓑にした国際金融資本家たち、グローバリズム勢力です。

彼らは世界中の人達に気付かれないように、確実に世界の支配構造を形成してきました。この気付かれないように推し進める手法は、彼らの最も狡猾で優れた能力でもあります。資本主義の世界は過去200年、間違いなくこの構造で成立し、成長を続けてきました。しかしながら、この世界構造の存在に気付いている日本人は圧倒的に少数のようです。近現代史研究家の林千勝先生によれば、この世界構造の存在や本質に気付いている日本人は、まだ国民全体の1%~2%だろうとの事です。

そしてこの世界構造の本質を理解出来なければ、政治も経済界も現在の日本の難局を打開することは不可能であると林先生は発信されています。なぜなら日本という国は、対立構造のどちら側の主要な国でもなく、この対立構造の間で両陣営から草刈り場にされている国なのです。残酷ながらそれが現在の日本の現実なのです。

◆ 歴史に目覚めた日本人の連携が日本復活の第一歩 ◆

確かに、私自身もこの世界構造の存在に気が付いたのはつい最近の事でした。なぜ今まで気付かなかったのだろうかと、自分なりに自問自答してみました。自問自答して見えてきたことは、この世界構造の存在に気付かれないように仕組まれてきた、この国の歴史教育とメディアによる歴史の洗脳や刷り込みにありました。日本における戦後の歴史教育、テレビや新聞等から発信されるあらゆる報道には、日本人がこの構造に気付かないようにするプロパガンダが意図的に隠されていました。この構造の存在や本質に気付かれないようにしている勢力は、意図的に戦後日本の歴史教育を変え、メディアを通して我々全ての国民の目を欺いており、それは現在も進行中です。日本人はそこに気付き、一人でも多く目覚めるべきと林先生は警鐘を鳴らしています。

しかしながら、現在の日本人が世界の構造に気付かない理由は次の二つに集約されます。一つは、戦後の多くの日本人が、日本の歴史にほとんど関心を示さなくなった事です。もう一つは、メディアの情報を信じて疑わない日本人が圧倒的に多い事です。この二つの特徴は、特に戦後生まれの日本人に顕著にみられる傾向でもあります。海外ではこの特徴が日本人ほど強くない事も、日本ではあまり知られておりません。

この二つの国民性によって戦後生まれの多くの日本人は、大きな世界の構造に目を向けないように育てられ、それは結果的に現在の日本の状況を造り出す事になりました。現在の日本の状況とは、格差が拡がり未来に明るい兆しが見えなくなった日本です。30年以上もの長い間、低空飛行を続けるこの国の状況を招いた原因はいったい何なのか。それには世界構造の存在に気付き、その本質を理解しないと気が付く事ができません。それに気付かないようにした目隠しが、日本人を歴史嫌いに育てた教育やメディアです。

実際、世界構造の頂点にいる勢力によって、戦後の日本人は歴史嫌いに育てられました。さらにメディアを通じて、何度となく間違った歴史観を刷り込まれてきました。戦後77年もの長い間、何世代にも渡って同じ洗脳を繰り返して施されたことによって、日本人はこの世界の本質に気付く事ができないように育てられてしまいました。その洗脳を最初に施された世代は、もはや80代となった私の両親の世代です。終戦後に子供時代を過ごしていた世代に施されていた洗脳を、私の両親達も知りません。

ほとんどの戦後生まれの日本人は、正しい真実の歴史を教えられずに育ちました。そこには彼らの意図が働いており、日本人はその意図に気付く必要があります。彼らの意図に気付くためには世界の構造に気付き、その成り立ちと歴史を学ぶ事で彼らの意図が見えてきます。そのためには、正しい歴史を学び直す以外に方法がありません。

世界構造に気付くためには、明治以降の近代史と敗戦以降の現代史を学ぶ必要があります。それは、学校で教えられた嘘の歴史ではありません。先人達の歩んだ、真実の歴史です。

なぜ、日本人の多くが歴史から遠ざかってしまったのか。

なぜ、メディアの報道をこれほど信奉する国民になったのか。

戦後の日本人を象徴するような二つの国民性には歴史的な理由がありました。その歴史的な理由に気付いた時、多くの日本人は日本の本当の姿に気付くはずです。この国の未来のために、今の日本の本当の姿に気付かなければなりません。

子供達や孫達のために、歴史に気付き目覚めなければならない時代が来たのです。

つづく

第二話 【大東亜戦争と東京裁判史観】

第三話 【歴史を消された日本人】

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