― 第3話 ―
◆ 世代を超える歴史の洗脳 ◆
私の身近な人の中には「大東亜戦争」という戦争の名を知らない人もたくさんいます。
GHQによって消された経緯があるため、知らなくて当然でもあります。それだけ戦後の歴史の洗脳教育は、見事に成功しているとも言えます。学校でも、テレビでも、映画でも、先の大戦はすべて「太平洋戦争」と表現されています。
太平洋戦争でアジアに侵略をした戦争犯罪国の日本は連合国に敗れ、戦前の指導者達は東京裁判で裁かれて処刑された。アメリカなどの連合国が日本に民主主義をもたらし、日本に平和な戦後が訪れた。
大雑把に言えば、これが東京裁判史観です。戦前の日本は「悪」で、戦後の日本は過去を反省して善良な国となったという歴史観です。しかしこの歴史観は、戦勝国である連合国側から一方的に押し付けられた自虐的な歴史観です。我々の先人達が歩んできた、日本人が学ぶべき本来の正しい歴史観ではありません。この誤った歴史観から脱却しない限り、日本人は眠り続けているのと同じ状態です。
しかし、いまだ日本人に眠っている認識すら持たせない事もGHQの計画通りの状態です。敗戦後の日本の統治者だったGHQによる国家再編計画の成果として、いまだ多くの日本人を眠らせています。
残念な事ですが、何十年たっても日本人を叩き起こす目覚まし時計が鳴ることはありません。
戦後真っ先にGHQに眠らされたのは、歴史の洗脳教育を施された第1世代とも言える世代です。昭和10年代以降に生まれたこの世代は、私の世代の親にあたる世代です。戦後の団塊世代の多くもこの世代に入ります。昭和20年代以降に子供時代を過ごしてきた彼らは、その当時、自分達がGHQからの指令によって学校やメディアを介し、歴史の洗脳教育を受けて育てられているとは夢にも思っておりません。
そんな彼らもやがて成長し、復興した東京ではオリンピックが開催されるようになります。「もはや戦後ではない」をキャッチフレーズに、戦後の高度経済成長時代が始まります。昭和30年代から昭和40年代、戦争で焼け野原にされた全国の街はどんどん復興が進み、少しずつ豊かになってきた日本の街角にテレビが登場します。大相撲、プロ野球、プロレス、ドラマ、何時間でも視ていられる映像機器が世の中に登場し、洗脳教育を施された彼らにとって、テレビは大きな娯楽の一つになっていきます。
しかしこのテレビが、戦後生まれの多くの日本人を洗脳するための、非常に役に立つ洗脳装置として機能していきます。もちろん私達日本人は、そんなことは夢にも思っておりません。その後カラーテレビが登場する時代になると、彼らは家庭を築き、好景気や国の金融政策にも後押しをされ住宅を持ち、彼らの子供である私の世代が誕生してきます。50年前の昭和40年代、日本はそんな時代でした。
このような時代を背景に生まれてきた私の世代は、洗脳の第1世代である親の世代や先生達から、平和の大切さや戦争の悲惨さを、過去の日本が悪だった歴史である「東京裁判史観」を教材に教えられて育ちました。第1世代の親世代も先生達も、自らが学ばされた間違った歴史観を私達の世代にも伝え、過去よりも未来が大切、夢や目標に向かって努力する人生、戦争を放棄した日本の価値観などを私達第2世代に教え、育てていくのです。私の世代はこうして洗脳を受け継いだ第2世代とも言える世代です。
もはやGHQもいなくなっていた時代でしたが、GHQの残した洗脳教育の刷り込みは確実に私の親世代である第1世代に浸透しており、それが私の第2世代にも受け継がれていきます。私達第2世代は、この第1世代の親達の背中を見て、それが当然の事として育ちました。このようにして育てられた私の世代は、さらに歴史の洗脳が濃くなるのは当然の事でもあります。
洗脳教育の第2世代とも言える私の世代は、子供の頃からカラーテレビを視て育ちました。ロボットアニメ、戦隊ヒーロー、プロ野球選手に憧れ、テレビっ子という子供達も出現してきました。そして、たまに流れる戦争番組が映し出されると、戦争が終わって平和になった、何不自由なく生きられる時代になったと教えられ、東京裁判史観の上塗りもメディアから順調に進められました。GHQに加担して成長してきたメディア側にも当然そのような意図があり、国民全体の意識に対して、過去の日本の戦争犯罪という刷り込みを、さりげなく何度も繰り返していきました。
GHQに洗脳を施された親の世代の第1世代、この親達と一緒にテレビを視ながら育った私達第2世代も、親達と同様に間違った歴史の刷り込みを何度も繰り返されて成長してきました。それを実行してきたのはテレビという情報発信装置であり、これが戦後の日本人に執拗に洗脳を繰り返してきた洗脳装置として機能してきたのです。
昭和の時代が終わる頃には、第1世代も第2世代も歴史にはすっかり関心が薄くなりました。学校では歴史は単なる年表主義の一教科となり、テストの点数を稼ぐためだけに学ぶものになっていきました。日本は昔のように戦争をする国ではなくなったと、徐々に歴史を忘れさせられていきました。
このような教育や社会環境では、歴史の重要性に気付けないのも仕方のない事と思えてなりません。
◆ 復興からの発展と衰退 ◆
戦後の日本は昭和末期頃まで順調に経済大国への道を歩んできましたが、同時に私達の世代が社会に出る頃には、日本人は過去の戦争や歴史の記憶が非常に希薄になっていました。そしてまもなく昭和が終わろうとしていた時代、ついにバブル景気が始まり、日本中が好景気に湧きあがりました。日本は世界からジャパン・アズ・NO.1と言われ、大きな勘違いをし始めました。
皮肉にも経済的に豊かになり過ぎた日本人は、未来を見る事だけに意識を取られ過ぎ、これから終わりの見えない長い不景気がやってくる事など想像も出来ずにいた時代です。この平成初期に始まったバブル景気は、この国にとって最後の好景気となりました。この後の平成の30年は日本は下り坂を転げ落ちるような時代になり、現在の日本の状況へと繋がっていきます。
平成元年、日本中がバブル景気で湧き上がるタイミングで当時3%の消費税が導入されました。バブルの好景気は長くは続かず、日銀や大蔵省から発信を受けたメディがまた活躍します。債務超過だ、不良債権問題だ、バブルが弾けたとメディアはさんざん煽りたて、日本の経済は現在に続くデフレ時代の幕開けとなる多くの構造改革が始まりました。
次第に不良債権問題で弱った日本企業を外資のハゲタカファンドが食い漁る時代になり、日本中が一斉に財布の紐を締め始め、何十万件もの企業が倒産し、本格的にデフレスパイラルの時代になっていきました。2000年代になると、政界には自民党をぶっ壊すという威勢の良い政治家が現れました。私達国民は閉塞感の打破を期待するも完全に裏切られます。メディアと一体になって、構造改革なくして成長なしのスローガンを刷り込まれ、景気回復どころか改悪的な多くの法改正によって非正規雇用があふれ出します。平成期の度重なる消費増税、多くの国営企業の民営化、労働法の改正、税制を始めとする多くの法改正、平成に実施されたあらゆる改革は、結果的にこの国に何をもたらしたのでしょうか。
結果的に平成の30年で、多くの国民は貧しくなり、貧富の差が拡がる国になりました。令和になった現在、もはやバブル以前の輝いていた日本の姿は全く見られなくなりました。日本はなぜこのような国になってしまったのでしょうか。日本人は戦後の77年ずっと真面目に働いて、一生懸命生きてきただけなのに。経済的な豊かさに惑わされ、歴史を過去に置き去りにしてきた結果なのかもしれません。
私達日本人は、令和になった現在の、おかしな国の状況の原因に気付く事ができなくなりました。
◆ 戦後日本の本当の姿 ◆
残念ながら、戦後の日本の歩みは大筋のストーリーが終戦前に用意されていたものでした。令和になった現在の日本の状況は、大筋では世界構造のストーリーに沿った予定通りの状況だったのです。
当然ながら、このストーリーを描いた脚本家は日本人ではありません。脚本家達はその存在が日本人に気付かれないように、真実の歴史の中に隠れています。歴史的に戦後の日本という国は、国民を豊かにするのも貧しくするのも、その方針を決めているのは日本政府ではなく、海外のある勢力の意向に従ってあらゆる政策を実行してきたに過ぎません。
戦後の日本は復興過程の中で朝鮮戦争の勃発による特需景気に始まり、その後の高度経済成長があり、さらにバブル景気があり、戦後わずか40年でアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国にのし上がりました。その後の経済的な絶頂期からの、消費税導入に始まる多くの増税政策や多くの法改正などは、脚本家達のストーリーを調整するための手段の一つであり、それは令和の現在、今なお継続中なのです。
戦後の日本が歩んできた敗戦からの復興と繁栄、その後に続く平成の衰退という歴史の流れは、大東亜戦争の前からずっと続いていた脚本家達と日本の攻防の歴史に直結しています。戦後の日本人が、真実の歴史に目を向けるべき重要な理由がここにあります。現在の日本が直面している問題の根本を解き明かす答えが、真実の歴史の中に隠されています。
大東亜戦争の本質を理解する意味がここにあり、それが現在の状況に直結するのです。日本と彼らとの歴史を理解しないと、現在の日本が置かれている状況は理解できません。
彼らが描いた脚本は、敗戦後の日本を支援して経済大国に押し上げ、日本を十分に実らせてからゆっくりと収穫する、100年掛かりの長い時間を掛けた壮大なストーリーです。そのストーリーの中に日本の伝統や価値観、皇統や皇室に対しての日本人の認識、家族や歴史教育など、あらゆる面で日本人を改造するプログラムがビルトインされていました。
敗戦国の日本がドイツのように分割されることなく、順調に経済発展の道を歩んで豊かになれたのは、日本が彼らの投資の対象であり、カネ儲けのビジネスの対象だったからに過ぎません。しかし戦後の復興期の日本人は一生懸命頑張ってきました。私の祖父母や両親達の世代です。
その世代の大変な苦労の元に私達が生きており、そこには感謝の念は絶えません。しかし彼らはその気になれば、昭和20年に日本人を全滅させることも出来たのです。彼らはあえてそれをせず、日本と日本人に経済的植民地としての生きる道を与えました。
勤勉で働き者で、我慢強い日本人だからこそ、全滅させるよりは生かして働かせるほうが得だと彼らは考えました。ただし、日本人に彼らの真意に気付かれては困る訳です。その意図に日本人が気付かないように彼らは私達の真実の歴史を消し、間違った歴史の洗脳を繰り返して育てたのです。そして彼らは自らが焼け野原にした日本に支援を装い、資源と資金を投下し、日本を経済大国に育てたのです。
戦後、十分に働かせ、十分に蓄えさせ、十分に実が詰まった平成から、彼らの収穫が始まりました。プラザ合意もバブルの崩壊も、郵政民営化も、これから起こるあらゆる改革も全ては彼らの収穫作業なのです。そして彼らと対立しているように見えている共産中国も日本に浸食してきます。なぜなら中国は、彼らが造り出したイデオロギーよって育てられた共産勢力の代表国家であり、表向きは対立しながらも経済は一体であり、日本はこれからも両陣営から収穫される草刈り場なのです。
これが令和の現在も彼らに刈り取られている、情けないほど悲しい日本の本当の姿です。バブル以降の30年、日本のデフレや不景気も、全てがこの歴史の流れによるものです。しかし、多くの日本人はこの本当の日本の姿と、そうなった原因に気付く事ができません。なぜなら、日本人がこのストーリーに気付かないように彼らから育てられてきたからです。
日本人に気付かせないための手段として、彼らは私達の記憶から歴史を消し去りました。
日本人に間違った歴史を教え込むことで真実の歴史から遠ざけ、日本人の記憶から歴史を消すことで、戦前にも起きていた現在と同じような問題に気付かなくされてしまいました。
◆ グローバリズム勢力 ◆
このようなストーリーを描いてきた脚本家達は、日本を自分たちの投資の対象としかみておらず、日本人の未来がどうなろうと彼らの関心はそこにはありません。彼らの関心事はカネ儲けのためのビジネスと、長い時間を掛けた日本と日本人の解体です。世界にはそのような勢力が昔から存在し、日本には明治になる以前から近づいてきました。彼らは日本だけではなく、世界中に影響を及ぼしてきました。
その勢力こそがグローバリズム勢力です。世界の構造を造ってきた彼らは国際金融資本という存在です。
彼らこそが戦後GHQを送り込み、日本人の歴史観を変え、教育を変え、戦後の日本を造ってきた司令塔とも言える勢力です。彼らは有り余るマネーの力を背景に、日本と日本の政治家、そして世界中のメディアを操ることも出来る、想像を絶する力を持っている存在です。
彼らからすれば、戦後の日本の首相ごときは草刈り場の管理人にしか過ぎません。そして、日本人が真実の歴史に目覚めることは、戦後の日本を造ってきた彼らが望んでいない事なのです。彼らは表舞台である政治の場やメディアに露出するような事は決してせず、その潤沢な資金を目立つことがないようにあらゆる分野に寄付という形で投資したり、慈善と称して現在もアメリカの政治、軍事、経済に大きな影響を及ぼしている、あるシンクタンクを資金的に支えています。
そのシンクタンクは現在も存在し、その組織からアメリカの歴代の大統領や副大統領、国務長官、財務長官、さらにはCIA長官などの多くの主要閣僚を輩出してきました。歴史的に戦前から戦後、そして現在に至るまで、日本に強い影響を及ぼしてきたアメリカの主要な閣僚は、ほとんどがこの組織に属している人物なのです。
アメリカに現在も存在するそのシンクタンクが「外交問題評議会(CFR)」という組織です。
長年に渡ってこの組織は、アメリカ政府に重要な提言という形で指令を出し続けてきました。しかしこのような組織は日本人にほとんど知られていないようです。歴史的に現存する、いまだに日本に大きな影響を与えているこのような組織の存在と、マネーの力でこのような組織を背後から支えているグローバリズム勢力の存在に日本人は気付き、目を向けるべきと考えます。
彼らが歴史的にしてきたことは、日本人にだけではなく、世界中の国や人々にも多くの戦災や殺戮をもたらしてきました。彼らがどのようにして富を独占する仕組みを造ってきたのか、彼らがどのようにして政治に介入するようになったのか、そして、なぜ彼らは戦争や革命を起こしてきたのか。
彼らが歴史的に何をしてきたのか。なぜ彼らは外交問題評議会(CFR)のようなシンクタンクを組織したのか。彼らの歴史は日本の歴史に直結しており、彼らの意図を理解するためには、私達は隠されてきた歴史を学ぶ以外に方法がないのです。
実は、この勢力の存在を戦前の日本の指導者達や日本人は良く知っていました。そして80年前、日本の自存自衛の防衛戦争として彼らに立ち向かった戦いが大東亜戦争なのです。大東亜戦争の本質とは、日本の独立と存亡を掛けた彼らとの戦いでもあったのです。
この本質に日本人が気付かないように、彼らが仕掛けてきたのが東京裁判史観の洗脳です。東京裁判史観の洗脳によって先人達の真実の歴史に気付けず、未来を生きる私達の世代のために命を捧げた先人達を、彼らによる洗脳に浸かって悪だと信じて疑わない戦後の日本人を、彼らは今でも真実の歴史の中から冷笑して眺めているのです。
真実の歴史、それはメディアが伝える太平洋戦争にはありません。
メディアが伝えない大東亜戦争にこそ、私達の知らない本当の歴史が隠されています。
隠された歴史の中に、敗れはしたものの彼らと命懸けで対峙した先人達の知恵があるはずです。勝者となった彼らの思惑を超えるカギと、これからの困難を打開する知恵がそこに隠されているはずです。
多くの日本人が歴史に目覚め、彼らの思惑を超えられる知恵を見つけられた時にこそ、私達が進むべき本当の日本の姿と未来が見つかるはずです。
第三話 【歴史を消された日本人】