悲劇と希望101—はじめに

G. Edward Griffin 著

 奇術師のマジックを間近で見たことがある人なら、誘導策と手品の威力を知っているはずだ。奇術師は、怪しげで注意深い観客でいっぱいの部屋でも、全員を欺くことができる。人間の心理の弱点を利用し、道具を駆使して、観客が騙されたいかどうかに関係なく、騙すことができる。

 同じように、有能な政治的奇術師の「ネットワーク」が何を成し遂げるか想像してみよう。ほとんどが信頼し、何気なく見ている観客の前で、人間の心の既知の弱点を利用し、彼らの商売道具を駆使して、彼らもまた、観客が騙されたいかどうかにかかわらず、観客を騙すだろう。

 この世界を支配する奇術師について、60年近く研究し、執筆してきた私が断言できるのは、あなたがこれから知ることになるのは、彼らの最も隠された秘密の一部だということだ。ジョーは、キャロル・クイグリーの著書『悲劇と希望』の中から、素晴らしい仕事をした。そして、この重要な情報を、1,300ページもある歴史書を読む時間のない一般人でも理解できるようにしたのだ。全編を読むつもりであっても、ジョーは真剣な学習者に役立つ入門書と学習ガイドを作成した。

 キャロル・クイグリーとは何者か、そして彼が明らかにした欺瞞についての知識は、今日の現実世界を理解するために不可欠である。彼はネットワークと密接な関係を持ち、その目的を承認していたからこそ、グローバル・エリートの心理と手法に関するインサイダー分析を提供することができたのである。この知識なしにはアメリカ政府や西欧諸国を支配している人々の行動は、意味をなさない。それがあれば、すべてがうまくいく。

 警告しておく。これから始まる旅は、気の弱い人には向かないだろう。もしあなたが、現在政治的現実として通用する幻影に安住しているならば、この本はあなたには向かないだろう。なぜなら、ひとたび彼らがどのように魔法をかけるのかがわかると、無知の心地よさはもはやあり得ないからだ。一度鳴らした鐘は、もう元には戻らない。

 鐘は次のページから鳴り始める。

G・エドワード・グリフィン

2013年10月4日

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